こんばんは。
湊かなえさん著の「白雪姫殺人事件」を読了したので、感想、びっくりポイントをまとめていきたいと思います。
2014年発刊のものを読んでます。同年に映画化もされているようですがそちらはまだ見ていません。
この本の面白いポイント!
⑴捏造、想像で人物が作り上げられている
⑵「藪の中」という小説に近いものを感じる
⑶犯人が意外
読書が習慣付いてなかったので、
有名な湊かなえさんの作品でも、2作品目。そんなライトユーザーの感想です。
⑴捏造、想像で歪む人物像の共有
同僚、同級生、地元住民、当事者へと記者は取材を行います。インタビューをしているかのように、一人一人が鍵かっこなし、こちらの反応に対して相槌をうつ。そんな話し言葉で繋がれた文章です。
記憶を探し探し喋っている会話で起こる、内容の継ぎ接ぎはついやってしまうな、という親近感が湧くと共に他人に対するイメージ、印象を語る危うさも物語っています。
個人が今まで育んできた価値観で人間のことも見ているはずですから、10人と会えば10人とも違う箇所に興味を抱くのではないかと考えます。
しかし、この物語で繰り広げられるのは殺人犯に結びつきそうな部分だけを、人々は自分の中から抽出。自分の中の過去の友人であった、知り合いであった、身内であった人物像を簡単に歪ませられるという不気味さが描かれています。
逆に言えば、この当事者は周りの期待に答えようとするあまり「いい人」になりすぎていた可能性もあります。アイデンティティとなるものを外に求めすぎていたのかもしれません。
自分ではない犯人が逮捕されたあとの、喪失感漂う当事者の言葉が印象深いです。
⑵「藪の中」という小説に近いものを感じる
15分くらいで読める芥川龍之介のミステリー短編「藪の中」。
人物の扱いかた、人々の記憶に対する頼りなさが似ていてクスリと笑ってしまいます。「藪の中」では、男が殺されているんですが最後に本人から真実を聞くことができるんです。(巫女を通してなのでこれも怪しい?)
人間の記憶は頼りにならないと昔の人も思っていたということなんでしょうね。
どちらの小説も非日常的事情に対して関心を持ってしまう、人間の本能の悪い部分を浮き彫りにしているように感じます。
⑶犯人が意外
当事者は最初から、さも犯人かのように語られて読んでるこちらも「わかりやすすぎないか?」と不安になるほど。
インタビューの人数や過去を掘り返す度に、狂気な部分も含んでいることがわかり始め
自分の心もぐらつき始めます。
よく考えてみれば最初に記者に取材をうけることによってあとの取材の人物、ポイントを操作できてしまうんじゃないかと気づきました。先手必勝といいますか。
このインタビューをしている記者は週刊誌。
大衆扇動にうってつけだと思い自分の罪をなすりつけようと画策していたのではないでしょうか。最終的には警察に見つかってあえなく逮捕されましたが、一個人の世界は破壊されたまま、というのがあまりにもやるせない気持ちにさせます。
事件を引き起こす人の厄介さ、不気味さ、大衆のあっけなさ。それらを含んでいるからミステリーというジャンルに強く惹かれます。
読書の習慣を身に付け、いろんなジャンルの表現も見ていきたいです。それにはまず、自分がどれくらいの量を、どのくらいの時間で読み切ることができるのか観察しながら進めていきます!