こんばんは。
【何者を先日読みました】
1.主人公とその他の人物
2.読んで残ったもの
3.言葉の危うさ問題
4.まとめ
1.主人公とその他の人物
主人公と一緒に就活をする大学の仲間+助言をくれる先輩の中でのやりとりが描かれています。
主人公は傍観者、サークルの同期は芸術家気質、同居人はピエロのような役回り、
好きな人は素直な女の子、その友人は他人が気になる女の子、その彼氏は上から目線、先輩はSNSではやりとりしない人。
6〜7人の人物が出てきますが、この人格ってどの人間の中にも少しずつ存在するような気がしています。生きている中で、ずっと同じコミュ二ティに存在するわけではなく、その場の役割に応じて出方を考えているように思います。
だから主人公に感情移入したり、その他の人物にもわかる部分が存在するのだろうと感じました。
2.読んで残ったもの
主人公は傍観者で、ナレーターのように人物を描写しているわけですが、彼は主人公ではなくカメラのように、そこに介入しているような心の葛藤がなかったわけです。
どこか一つ上のところから、もがく人々をみているのです。
自分もその渦中にいるのに。
「自分にできることを探す人々」を軽視して、自分のことを見ないようにしています。読んでいて、ボディブローのように効きました。
3.言葉の危うさ問題
SNSやインターネット上のやりとりを、それぞれが使用する描写が多くあります。
それを見て彼は観察をしていくのですが、SNSを使用していない先輩に
「SNSで綴られた文面で、人物を知ったつもりにならないほうがいい」的なことを言われます。
SNSでむしろ載せなかった日常のほうが、その人のことをよく表しているのではないかと気づくきっかけにもなります。
自分の価値を肩書き、いいねで振り回される自己肯定感の低い人に、この先輩の言葉はよく効きます。
「言語隠蔽」=言葉にすると、その記憶が不確かになる現象(絵、色、音楽、匂い、味)オタクによく発生する、"エモい"または”筆舌に尽くしがたい”状態です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cogpsy/2015/0/2015_106/_pdf/-char/ja
4.まとめ
昔の常識が滅びていく変化の激しい時代において、自分のことを自分でコントロールする力、自分の物差しを持って社会と良い距離感を取らなければいけないと感じました。
現代は自然界のように、変化を自らしないものは取り残されるそういう多様化した世界に突入していっているなと日々感じます。反面教師的な本として扱いたいです。
他人を観察する癖、比較癖を向け出さなければ、この先どうにもならないんだろうなと思います。デジタルデトックスをやりたくなる小説でした。